DACSの紹介：世代を超えてデータを保存する柔軟な分散型ストレージ

Xeneaについて

2024年12月29日

参照元：https://xenea.io/blog/20241129-en

Contents

はじめに
既存のブロックチェーンベースの分散型ストレージ
既存の分散型ストレージの課題
DACS：Xenea Blockchainによる分散型ストレージ
結論
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はじめに

Xeneaは、Layer 1ブロックチェーンと分散型ストレージを統合した独自のアーキテクチャを構築しました。このシステムでは、「データの継続性」という重要な課題に取り組む必要があります。

ブロックチェーン単体では、アカウント状態や取引履歴のような軽量で構造化されたデータを扱うため、データの継続性に大きな問題はありません。ノードがこれらのデータを簡単に保管し、十分なコピーが世界中に分散されれば、データ消失のリスクは非常に低いです。

しかし、画像や動画のような大容量データを分散型ストレージで扱う場合、その継続性を確保するのは大きな課題となります。これらのデータは数MBから数GBに及び、長期間保存される可能性があります。さらに、これらのデータがNFTとして扱われる場合、価値を持つため、数十年にわたり世代を超えて保存される必要が生じる場合があります。

現実的には、すべての記録媒体には物理的な寿命があります。このため、分散型ストレージには記録媒体の制約を克服し、データそのものを持続的に保存する仕組みが必要です。そのために開発されたのが DACS（Decentralized Autonomous Contents Storage） です。

この記事では、既存のブロックチェーンベースの分散型ストレージと比較しながら、DACSの特性と利点を紹介します。

既存のブロックチェーンベースの分散型ストレージ

IPFSとFilecoinの特徴

IPFS（InterPlanetary File System） は、ハッシュベースの分散型ファイルシステムです。従来の中央集権型HTTPとは異なり、P2Pネットワークを活用して分散型のウェブを目指します。

ファイルは内容に基づいて生成された一意のハッシュ値で識別され、主に静的ファイルの保存に適しています。
ユーザーは、ファイルを近隣のノードから取得できるため、高速なデータ転送と効率的な帯域幅の利用が可能です。
ただし、IPFS自体にはデータ継続性を保証する仕組みはありません。たとえば、IPFSストレージを特定の企業が運営している場合、その企業の事情でデータが失われるリスクがあります。

Filecoin は、IPFSのインセンティブ層として機能し、ストレージマイナーと契約を結ぶことでデータを保存します。しかし、Filecoinのデータ継続性はマイナーに依存しており、契約終了やマイナーの撤退に伴いデータが失われる可能性があります。

Arweaveの特徴

Arweave は、データを永久保存するために設計された分散型ストレージネットワークです。データはネットワーク全体で複製され、改ざんや削除が不可能です。ユーザーは一度だけ$ARトークンで料金を支払い、永続的な保存を保証されますが、他のストレージサービスと比べてコストが高い傾向にあります。

既存の分散型ストレージの課題

IPFS はファイルシステムであり、データ継続性を保証する仕組みを持たない。
Filecoin はデータの継続性がマイナーに依存する。
Arweave は高コストで、主に静的ファイルの保存を前提としている。

DACS：Xenea Blockchainによる分散型ストレージ

概要

DACSは、Xenea Blockchainの分散型ストレージ機能を提供するアーキテクチャで、ピアレビュー済みのIEEE論文「Sustainable NFT Blockchain Storage for High Availability and Security」に基づいています。
DACSは、従来の分散型ストレージでは困難だった動的データの扱いや、データ継続性の保証を実現します。DACS自体はファイルシステムではなく、Xenea Blockchainとファイルシステムを統合するアーキテクチャです。

初期段階では、DACSはIPFSのみをサポートし、ネットワークの安定性と快適なユーザー体験を確保するため、ノードの参加は許可制となります。

SGM（Sustainable Generation Manager）

SGMは、データの継続的な保管を実現する技術で、ストレージデバイスの物理的寿命が尽きる前に他のノードへデータを自動的に移行します。これにより、世代を超えたデータの継承が可能になります。

FASTD（FAST Track Contents Delivery Manager）

FASTDは、低遅延アクセスが必要なデータをDACSノードのキャッシュ領域で管理することで、高速なデータアクセスを可能にします。

結論

DACSは、既存の分散型ストレージの課題を克服し、データの継続性と動的データの取り扱いを実現する新しいフレームワークを提供します。特に、SGMによる世代を超えたデータ継承の仕組みは、物理的な記録媒体の寿命という根本的な課題に対する解決策を提示します。さらに、FASTDの実装により、低遅延アクセスが求められるデータも適切に対応可能です。

これにより、NFTをはじめとするデジタル資産の長期保存や、さまざまなデータの継続的な保守が期待されます。